ペルー料理の荒井商店と「わかやまジビエ」を中心とした和歌山食材を使ったコースをいただきました。

鮮度と熟成管理が決め手の「古座川ジビエ」

和歌山県といえば、温暖な気候のもとで作られる梅や柑橘を初めとした果物や、和歌山湾や紀伊半島沖で捕れる海の幸が有名ですが、県では近年ジビエ肉の活用にも力を入れています。

県内で捕獲され、認証施設で処理されたものを「わかやまジビエ」と名付け、さらに県独自の基準によって等級化することで高い品質を保っています。

なかでも今回メイン食材として使われたジビエは、和歌山県の南部にある古座川町で処理されたもので、「古座川ジビエ」と呼ばれています。

古座川ジビエは鮮度と血抜き熟成の処理が素晴らしくジビエ特有の臭みがないので、その質の良さから都内の高級レストランなどでも採用されているそうです。

ペルーの唐辛子は出汁の代わり⁉︎

ところで、

ペルー料理といえば多くのお料理に唐辛子を使うイメージがありますが、辛さのためではなく、旨味や香りとしての要素も多いです。今回のお料理にも様々なところで唐辛子が使われたとのことですが、ハバネロやジョロキアにイメージするような火を噴くような辛さのお料理は一切ありません。むしろ日本でいう「出汁」のような役割であると考えると、ペルー料理が日本人の口に合うといわれるのにも納得がいきます。

メインとなる食材を支える唐辛子の旨味や香り、国産柑橘のアクセントそれらが上手くマッチして、今回は日本の食卓のお料理とはまた違った表情を見せる和歌山県の食材の魅力を感じることができました。


【新井商店×和歌山ジビエ イベント】

足赤エビのセビチェ

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とろりとした舌触りが心地よい足赤エビの濃密な味わいを赤肉のタロッコオレンジが力強い甘味と酸味で支えます。

紀州足赤エビは県産ブランドで、今回は雑賀崎港で水揚げされたもの。

タロッコオレンジはいわゆるブラッドオレンジ。みかんの名産地有田市町で生産され、樹上で完熟してから収穫する「木成り熟成」がポイント。成熟した味わいが楽しめます。




カウサレジェーナ

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何度も聞き返してしまった初めて聞く名前のお料理は、ポテトサラダ。

深い紫のシャドークイーンは黄色い唐辛子のアヒアマリージョで辛味を加えたマッシュポテトにしてケーキのような仕立てでセルクルに。

真ん中にサンドされているのが先述の古座川ジビエの猪肉。ロース肉を真空低温調理にて柔らかくなるまで火を入れ、刻んだものとフードプロセッサーでほぐしたものとをアボカドとともにサンド。

リエットのようなお肉のなかから時折塊が出てきて、その脂がまたジューシーでたまらない!たしかそのままお肉を調理したとのことでしたが、本当に獣独特の臭みがなくてビックリでした。

アンティグーチョ

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ペルーの屋台料理であるつくねの串焼き。それを古座川ジビエの鹿肉ミンチで作ったそうです。鹿肉は「金もみじ」と名付けられた最高ランクのもの。

そこに紀州梅とアヒパンカという唐辛子のドライをスパイスとして使ったサルサ(ソース)が塗ってあります。梅のしっかりとした酸味とちょっとオールスパイスに似たような香りがあとに残るサルサで、焼いた香ばしいお肉にピッタリ。さらにマヨネーズベースとタマネギベースの2種類の唐辛子のサルサをつけて、あと引く辛味でくせになる味わい。

この唐辛子のサルサはどれもかなり優秀で、それだけでおつまみになるほど美味しいととても好評でした。

セコ

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セコはコリアンダー煮込み。タマネギとパクチーの水分だけで煮込む無水調理のお料理だそうです。

お肉は同じく古座川ジビエの「金もみじ」から、すね肉を使用。

柔らかく煮込まれたお肉はシンプルな味付けゆえお肉の良さがひきたっていて、肉々しいシチューになっています。ライスや付け合わせの茹で大豆とも相性がよいです。

ピカロン

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ペルーの定番おやつで、小ぶりの揚げドーナツです。

木成り熟成の麗紅という品種のみかんです。タロッコオレンジもこの麗紅も有田で収穫されたもの。

甘さが濃く、かつくっきりとした酸味の輪郭があり、チョコレートソースの甘さの中でハッとさせられるような存在感がありました。